先日、イニエスタのヴィッセル神戸の退団が発表された。
2023年7月1日、イニエスタのJリーグラストマッチ。
Jリーグ、そして、日本サッカーに大きく貢献したイニエスタに感謝を込めて振り返りたい。
世界基準のプレーを披露
ラストマッチでも、正確な柔らかいタッチを見せてくれた。
残念ながら、ボールタッチ数は少なかったが、それでも、ラストダンスも世界基準であった。
前半35分頃の汰木とのパス交換からフィニッシュまでは見事。汰木と2人で相手4人程を翻弄。
イニエスタのJリーグ初ゴールを覚えているだろうか?
ポドルスキーからのパスを受け、ファーストタッチで相手DFをかわし、さらにGKをキックフェイントでかわし、ゴール。
さすが『イニエスタ』というプレーを覚えている。
ミドルシュートのゴールも多いが、リラックスした状態で8割ぐらいの力で狙いすましてゴールに突き刺している。
シュートシーンとなると、力んでうまくミートしない選手が多いが、見習いたい点だ。
私がイニエスタのプレーで一番感じることは、相手をよく見ているということだ。
決してスピードはないが、柔らかいタッチで、スルスルと相手をかわしていく。
ボールの置きどころがよいので、相手の逆をついたり、うまくいなす。
敵だけでなく、味方もよく見ているので、あのキラーパスが生まれる。
Jリーグでイニエスタのプレーが見られなくなるのは残念で仕方ない。
ピッチ内外での人格者
試合後にセレモニーが行われた。
試合後のインタビューでもそうだが、非常に話す内容が深い。
セレモニーでもヴィッセル神戸への感謝、日本への感謝を念頭に日本での約5年間のキャリアについて語っていた。
壮大なセレモニーを見ても、クラブ側がイニエスタに対してリスペクトしていることを感じる。
一方、イニエスタもそんなクラブ側の姿勢を分かっているからこその涙だったのではないか。
イニエスタほどの選手が、なかなか試合に出られない状況が続いてた中、その状況さえも受け入れていた、と聞く。
ピッチ内外で見本となる姿は、まさにプロ中のプロであった。
退団は必然
イニエスタ入団当初、ヴィッセルは『バルサ化』を目指し、ポゼッションサッカーを戦術としていた。
しかし、昨シーズンの成績不振の中、残留争い時にチーム戦術が変わった。イニエスタが怪我で離脱していたことも影響していたのかもしれない。
今シーズンもその戦術を継続し、上位に食い込んでいる。
ポゼッションサッカーとはかけ離れ、ロングボールを多用するサッカーとなった。
中盤を省略し、縦に早いサッカーとなると、なかなかイニエスタは活きない。
当然、出場機会が減る。
まだまだ現役でプレーし続けたいイニエスタにとって、移籍を考えるのは当然だ。
楽天の三木谷会長はどう思っているのだろうか?
無念で仕方ないのではないか?
当初バルサ化を掲げ、バルサ化を解いて今季、首位争いをしている。
なんとも皮肉な状況だ。
バルセロナは下部組織から、ポゼッションサッカーを体に染みつけられている。
日本のサッカーはまだまだ歴史が浅い。
そう簡単にバルサ化はできない。
当初、監督選考からバルサ化を目指した人事だったと思うが、結果が出なければ当然、解任される。
昨季みたいに、残留争いとなれば、サッカーの内容以前に勝ちが求められる。
そうすると、ポゼッションサッカーよりリスクの低いロングボール主体の戦術となる。
大迫がトップにいることで、この戦術は今季、おおいに当たっている。
今のチーム状況を見ると、イニエスタにとって、ヴィッセルを離れることは必然的な選択だと感じる。
まだまだ、第一線で活躍できることは、Jリーグでも証明済みだ。
新天地はまだ発表されていないが、次のステージでの活躍を祈る。
そして、ヴィッセル・日本サッカー協会と何らかの形でつながりを継続してもらえたらと願う。
本気でヴィッセル、日本サッカーの発展を考えながらプレーしたイニエスタを見ると、過去のレジェンド達を思い出す。
鹿島のジーコ、磐田のドゥンガ、名古屋のストイコビッチ等等。
今後もヴィッセルには偉大なプレーヤーの獲得で、Jリーグを盛り上げることはもちろん、過去のレジェンド達のように、Jリーグ、日本サッカーの底上げを期待したい。
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